はじめに

この資料は Rust 製のコマンドラインツール rip-improved について紹介するものです。

Rustの環境構築やツールのインストール方法については以下を参照してください

Rust開発環境を整える

rip-improved について

rip は、rm コマンドの改良版です。コマンド名は rip です。rip は削除するファイルを temp ロケーションに送り、rip -u を使って復元することができます

GitHub - nivekuil/rip: A safe and ergonomic alternative to rm

使用にあたっての留意事項

• rmをripにエイリアスするのはやめたほうがいいかもしれません。エイリアスになれてしまっていると、異なるマシンやユーザで作業したときに、エイリアスがされているものと勘違いして通常の rm を実行することになりかねません。
• XDG_DATA_HOME 環境変数が設定されている場合、rip は /tmp/graveyard-$USER の代わりに $XDG_DATA_HOME/graveyard を使用するようになります。
• graveyard を他の場所 (~/.local/share/Trash など) に置きたい場合は、優先順位の高い順に、2つのオプションがあります。
  • エイリアス rip を rip --graveyard ~/.local/share/Trash に変更する。
  • 環境変数 GRAVEYARD に ~/.local/share/Trash を設定します。
• 一般的なLinux は　/tmp はメモリファイルシステムとして構成されています。そのため大きなファイルを削除するとすぐにメモリが枯渇することになります。
• ファイルシステム間でファイルを移動すると遅くなりますが、SSD領域をあり当てることで遅れは最小になるはずです。
• 一般に、オプション --unbury を与えて実行すると、ファイルが復元されます。
• 削除のログは、墓地のトップレベルにある .record に保存されます。

使用方法

• 基本的な使用方法は rm と同じです。

  $ rip dir1/ file1
  

• 直近に削除したファイルは次のように復元できます。

  $ rip -u
  Returned /tmp/graveyard-jack/home/jack/file1 to /home/jack/file1
  

• 対象に関するいくつかの情報（ファイルのサイズと最初の数行、ディレクトリの合計サイズと最初の数ファイル）を表示し、削除を求めるプロンプトを表示する。

  $ rip -i file1
  dir1: file, 1337 bytes including:
  > Position: Shooting Guard and Small Forward ▪ Shoots: Right
  > 6-6, 185lb (198cm, 83kg)
  Send file1 to the graveyard? (y/n) y
  

• カレントディレクトリ以下から削除されたファイルを印刷する。

  $ rip -s
  /tmp/graveyard-jack/home/jack/file1
  /tmp/graveyard-jack/home/jack/dir1